プログラミング建築

プログラミング建築とは

一般的に設計図をかく前に考える、敷地条件・機能配置・文化的コンテクスト・クライアントの意向などの条件を「プログラム」と呼ぶ。

 

これらを図式化(=ダイアグラム)したものを、直接、建築形態に投影するデザインの方法をいう。

 

1980年代、ラヴィレット公園のコンペをきっかけに世界的に広まった。

 

<プログラミングの目的>

クライアントが求める予算や性能に的確に合わせる。

性能とは、利便性、安全性、快適性、経済性、社会性など。

完成した建物の説明責任。

 

<ダイアグラム>

情報を図式化すること。

コミュニケーション・デザインの分野で、伝えたい情報を、二次元の抽象化された図、記号、数式、文字列、関係表現によって、平明に呈示・説明したものを、「ダイアグラム」と称する。物事のコンセプト、そのシステムやプロセス、オペレーションを一目瞭然に表わすことができるが、マッスやヴォリュームといった量的な情報を示すものではない。出典:artscape

 

建築のコンセプトをダイアグラムで表した例。http://conceptdiagram.tumblr.com
建築のコンセプトをダイアグラムで表した例。http://conceptdiagram.tumblr.com
ディズニーのビジネスプランを図式化したもの。原初的な例。Illustration: @1957 Disney via hbr
ディズニーのビジネスプランを図式化したもの。原初的な例。Illustration: @1957 Disney via hbr

きっかけとなった「ラ・ヴィレット公園」のコンペ

「ラ・ビレット公園」はフランス革命200周年を記念して企画された、フランス政府の9つの建設プロジェクト「グラン・プロジェ」の中のひとつ。

 

1983年に国際コンペが行われ、470案の中からベルナール・チュミの案が選ばれた。そこで使われていた設計手法や概念が「プログラム」を重視するものだったことから、これ以降、世界的に注目を浴びることになった。

 

当選:ベルナール・チュミ
二等:レム・コールハース

 

当時二人は「出来事」や「プログラム」といった、空間内で起こる偶然性、非予定調和性に関心を寄せていた。形態と機能の断絶。

 

 

 

当選:ベルナール・チュミ

ベルナール・チュミ

ベルナール・チュミ
1944‐
スイス生まれの建築家、都市計画家、建築評論家

<チュミの初期の思考>

映画=建築「シネグラム」モンタージュと同じ手法で、建築に非連続性を導入した。ロシア構成主義、シチュアシオニストの影響。

The Manhattan Transcripts, 1976-1981 © Bernard Tschumi Architects
The Manhattan Transcripts, 1976-1981 © Bernard Tschumi Architects

<状況の構築>

フォリー(点)、人が移動する道(線)、開放的広場(面 )という3つのレイヤーを重ねてプランされている。

 

映画のモンタージュ的手法や、SIの思想的影響が強く、その場所で起こる非予定調和的な出来事や状況に期待する計画だった。

 

21世紀の都市公園のモデルをつくる国際コンペだったが酷評も多い。チュミは極めて観念的に計画をおこない、現実的な利用への誠実さがほとんどみられない点などが指摘されている。論理に寄りすぎた。

 

ラ・ヴィレット公園

ラ・ヴィレット公園
1991 フランス パリ19 区
設計:バーナード・チュミ
via lavillette

二等:レム・コールハース

レム・コールハース

レム・コールハース
1944-(72歳)
オランダ ロッテルダム生まれの建築家、OMA所長

<略歴>

1963 「ハーグポスト」の記者になる(ジャーナリスト、映画脚本家として活躍)当時19歳
1968 ロンドンAAスクールで建築を学ぶ
1972 NYの建築都市研究所(IAUS)で学び研究を行う
1975 建築都市研究所の客員教授に招かれる、OMA創立(ロッテルダム)
1978 『錯乱のニューヨーク』出版
1988 MoMA「脱構築主義者の建築」展に参加
1994 ハーバード大学教授
1995 『S, M, L, XL』出版
2000 プリツカー賞受賞
2001 『Mutations』出版
2002 『The Harvard Guide to Shopping』
2003 『Content』出版
2007 『Lagos: How it Work』


<マンハッタン分析の応用>

レム・コールハースは、自身の著書「錯乱のニューヨーク」で提示した、空間の複合機能的な理論をこのコンペで応用した。

 

本の中では、資本主義の効率化を徹底した表現として、マンハッタンの摩天楼が語られている。摩天楼は上下階の機能はばらばらで、そこでは矛盾や対立など気にせず、一つのビルが異なる用途の空間を内包していると分析した。超高層ビルに代表される、都市の「過密文化」を指摘している。

 

ラヴィレット公園の提案は、ちょうどその摩天楼を横に倒して敷地にはめ込んだようなプランで、細分化された用途を持つ空間どうしが隣接しているものだった。

 

ラ・ヴィレット公園

ラ・ヴィレット公園
1982
設計:OMA
 via oma

<ダイアグラムの日本への影響>

レム・コールハースの代名詞とも言えるダイアグラムをベースにしたプランの手法は、日本では妹島和世がはじめて実践的に取り入れたと言われる。

 

とくに妹島和世が広く認知されるきっかけとなった作品「再春館製薬女子寮」とレムの「エクソダス」を比べると構成が似ているのがよくわかる。

 

ダイアグラムを取り入れた設計手法じたいは、かなり遡ってミケランジェロの時代からあったものだが、何が注目されたかと言うと、レムは建築がもつあらゆる要素(コンセプト、空間の体験など)を"図式"一枚で簡単に語ってしまったところにある。誰よりも建築を単純化して説明した。それが新しかった。

 

レムの使ったダイアグラムの手法は主に2種類あって、ひとつが"垂直分裂"、もうひとつが"ヴォイドの戦略"。

 

それに対して妹島は、ダイアグラムの手法を使いつつ、まったく異なる考え(どうやって空間のヒエラルキーをなくし、空間を均質にするか)を主題に建築を組み立てていた。要素の"関係性"に着眼していた。

 

図式の手法は、それぞれに噛み砕かれたかたちで広まり、妹島和世や、青木淳の原っぱの概念などに影響を与えた。

Exodus, or the Voluntary Prisoners of Architecture: The Strip (Aerial Perspective) 1972 Rem Koolhaas, and Elia Zenghelis, Madelon Vriesendorp, Zoe Zenghelis via SOCKS
Exodus, or the Voluntary Prisoners of Architecture: The Strip (Aerial Perspective) 1972 Rem Koolhaas, and Elia Zenghelis, Madelon Vriesendorp, Zoe Zenghelis via SOCKS
再春館製薬女子寮 1990
再春館製薬女子寮 1990

<「ヴォイドの戦略」>

フランス国立図書館(案)では、建物全体を書庫(ソリッド)と考え、それをくり抜くような形で閲覧室や事務室など(ヴォイド)をもうけた。

 

ヴォイドは公共空間であり、さまざまなアクティビティを許容する場となっている。

 

反復する空間「地」 / 自由な形態をもった閲覧室の空洞をヴォイド「図」

 

「逆説的に、最も重要で、最も想像力を刺激する部分は不在として表現される。」レム・コールハース

Strategy of the Void ,OMA/Rem KoolhaasTypical Plan (from SMLXL) via thelab-lab
Strategy of the Void ,OMA/Rem KoolhaasTypical Plan (from SMLXL) via thelab-lab

 

ある領域を使用し、あるいはそこに何かを建てるよりも、ヴォイドのまま放っておくほうがずっと簡単です。それはまた、消費擁護論者達による意味やメッセージの猛攻撃、砲撃や侵略の対象外にあるのです。ヴォイドはあらゆる圧迫を削除しようと努めているのです。一方、建築はそうした圧迫の中で重大な役割を演じているのです。レム・コールハース

 

「ジェネリック・スペース」は特定の機能をもたせることで固定化されるが、永続的な「ヴォイド」は様々なアクティビティで揺れ動く空間として存在することができる。

 

形態をつくりだすことによって、あらゆる問題を解決するという、建築から切り離すことのできない特質に、レムはうんざりしていた。そういった建築のしきたりのようなものに抵抗するような計画だった。

 

フランス国立図書館(案)

フランス国立図書館(案)
1989 フランス パリ
設計:OMA

ファサードは、内部を露出させるようにガラスを使い、また、不透明な雲のように背景をぼかし、一定の様相をつくらないことで、自然現象と同じような効果をもたせようとした。

 

Seattle Central Library

Seattle Central Library
2000-04 ワシントン シアトル
設計:OMA + LMN
via AD

メディアの多様化や蔵所の増加など、現在の図書館がかかえる問題点を指摘して、図書館を新しく「インフォメーションストア」と再定義した。

 

CCTV Headquarters

CCTV Headquarters
2009 中国 北京
設計:OMA
via AD

 

<レムコール・ハース関連人物>

サルバドール・ダリ
1904-1989(満84歳没)

 

ダリのイメージ的手法である、偏執狂的批判的方(Paranoiac Critic)は、レムの著作「錯乱のニューヨーク」でキーワードになっている。

 

2つ以上のイメージを重ねて描く「ダブルイメージ」

ある仮説を立てそれを実証するために論拠をかき集める、または捏造する方法として使っている。

 

 

人間の物の見方、考え方は偏ったものであり、見たいものだけを見てしまう性質があることを利用している。

 

 


ロバート・ヴェンチューリ
1925-

 

「ポシェ」残余の空間(poche)という描画法を用いた都市解釈を学んだ。

 

都市の公共空間を白く、それ以外の空間を黒く塗るという方法。ヴォイドの戦略など、二項対立的な考え方は大きな影響を与えている。

 

 

 


オスヴァルト・ウンガース

オスヴァルト・ウンガース

1926-2007

 

都市群島(シティ・アーキベラゴ)という概念を学んだ。

 

開発部分と未開発部分の共存。この開発と保存を両立する方法は、のちにレムが考え出す「ヴォイドの戦略」という設計手法につながる。

 

 

 

 

 

ヨーロッパ都市の古い中心部(旧市街区)は、大都市圏のなかにぽかりと浮かんでいる場合が多いこと、そして、都市の歴史的なファサードは、非都市が勢力をふるう現実を隠しているだけということだ。

 

都市部は稠密、大都市圏は空洞、というモデルでは、安定性への希求と不安定性の必要性は、もはや無関係ではない。この二つは互いに独立した企てとして推進し、見えないところで連携させればよいのではないか。そのような都市は、再建と解体を平行して行うことで、ポスト建築的な消去の風景のなかに浮かぶ建築の群島となる。かつては都市だったがいまはテンションの高い無の状態であるような、そんな風景だ。S,M,L,XL+レム・コールハース

 

The City in the City – Berlin: A Green Archipelago (1977), OM Ungers, R Koolhaas, P Riemann, H Kollhoff and A Ovaska via aaschool
The City in the City – Berlin: A Green Archipelago (1977), OM Ungers, R Koolhaas, P Riemann, H Kollhoff and A Ovaska via aaschool
Rem Koolhaas and Zoe Zenghelis | Roosevelt Island, New York | 1975-76 Gouache on paper
Rem Koolhaas and Zoe Zenghelis | Roosevelt Island, New York | 1975-76 Gouache on paper
Baby Rems via chris-malcolm
Baby Rems via chris-malcolm

形態ではなく「状況」を重視するようになった経緯

コンペに当選したベルナール・チュミは、1950-70年代に流行した「シチュエーショニズム」(状況主義)の影響を強く受けているといわれる。

 

レム・コールハースはジャーナリストだった時代に、シチュアシオニストの建築家であったコンスタントにインタビューを行ったことがきっかけで、建築家を目指すようになった。

 

SI:シチュアシオニスト・インターナショナル 1957

 

第1期:「前衛芸術運動」

第2期:1960年代初めから68年五月革命に至るまでの「政治運動」

主要人物:ギー・ドゥボール、アスガー・ヨルン

 

<年譜>

1946- レトリスム(ダダ、シュルレアリスムを発展させたフランスの前衛芸術運動)文化革命派
1948-1952 コブラ(抽象美術運動)社会革命派
1957 SI結成
1967 「スペクタクルの社会」出版
1968 五月革命
1972 SI解散

l-r Guy Debord, Michèle Bernstein & Asgar Jorn, 1961 via spike
l-r Guy Debord, Michèle Bernstein & Asgar Jorn, 1961 via spike

<スペクタクルに対する反抗>

シチュエーショニズムの思想の根幹は、人間を受け身に追い込んでいる大量消費社会(マーケティング、メディア、マスカルチャー、大衆文化=スペクタクルな社会)への嫌悪と徹底した批判にある。それらを破壊するための「シチュエーション」(状況)をつくることを活動の目的としていた。

 

思想的にも活動的にも、20世紀はじめの芸術運動であるダダ、シュルレアリスムの尾を引いている。

 

彼らはコルビュジェに代表される機能主義的な都市計画(ユルバニスム)を批判した。

 

活動後期はとくに政治的な思想が強く表出し、のちの五月革命の引き金にもなっている。

 

<日常生活へのシフト>

スペクタクル社会においては、受け身で主体性の低い中産階級(サラリーマン層)が社会の主役となり、搾取の舞台は「工場」から「日常生活」へシフトした。

 

労働と生産をめぐる闘いよりも、余暇と消費をめぐる闘いに重きが置かれるようになる。

 

<マルクス主義の批判>

マルクス主義の裏にあった共産党の厳しいルール、様々な秩序を批判し無視していく態度も特徴的だった。

 

マルクス主義は、忌まわしいスターリニズム、社会主義リアリズム、古い芸術表現に加担しているとして批判している。

 

<IGとの共通点>

インディペンデントグループと似たような側面をもっていて、戦後の消費社会をどうやって分析するか、どうやって芸術や思想を通じて消費社会に立ち向かうかを主題としていた。

 

インディペンデントグループはこちら→

 

<五月革命への影響>

SIは1968年労働者評議会を応援していた。

 

「学生生活の悲惨さについて」というパンフレット、1968年5月革命を予見した『スペクタクルの社会』

 

5月革命でのシチュアショニストのスローガン「現実的になれ。不可能を要求せよ」など

 

1983 edition of Society of the Spectacle Guy Debord
1983 edition of Society of the Spectacle Guy Debord

<背景にあった考え方>

ヨハン・ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』「遊び」の概念
アンリ・ルフェーヴル『日常生活批判』『都市への権利』
ガストン・ヴァシュラール『物質的想像力』や時間の弁証法
ボードレールのフラヌール論

 

 

 

「状況」をつくりだす手法

<心理地理学> Psychogeographic

心理地理学は、ドゥボールの論文「都市地理学批判序説」(『裸の唇』誌 第6号、1955年所収)で、こう定義されている。

「意識的に整備されたものか否かを問わず、地理的環境が、諸個人の情動的な行動様式に対して直接働きかけてくる、その正確な法則と厳密な効果を研究すること」

都市空間の中で生きる個人たちの感情や行動が、いかに地理的な環境から影響を受けているのか、もしくは互いに影響しあっているのか、についての研究。

 

心理地理学によってパリの街がマップ化される。

 

Guy Debord, 1955 (?) "Psychogeographic guide of Paris: edited by the Bauhaus Imaginiste Printed in Dermark by Permild & Rosengreen - Discourse on the passions of love: psychogeographic descents of drifting and localisation of ambient unities" via imaginar
Guy Debord, 1955 (?) "Psychogeographic guide of Paris: edited by the Bauhaus Imaginiste Printed in Dermark by Permild & Rosengreen - Discourse on the passions of love: psychogeographic descents of drifting and localisation of ambient unities" via imaginar

<漂流> derive

ドゥボールの「漂流の理論」(1956年の『裸の唇』誌 第9号所収、後に1958年の『シチュアシオニスト・インタナショナル』誌 第2号に再録)での定義。

「都市生活の諸条件に結び付いた実験的な行動様式、すなわち、変化に富んだ環境のなかを素早く通過する技術。漂流の概念は、心理地理学的性質の効果を認めること、また、遊戯的-創造的行動を肯定することと分かちがたく結びついており、その点において、それは旅や散策のような古典的概念とまったく逆のものである」

シュルレアリストのいう「偶然」とは似て非なるもので、「漂流」は無意識ではなく意識的。「状況」の構築という明らかな目的があって、それを実現するために日常に潜む秩序との意識的な切断を試みる。

The above shows one of the models for a futuristic, anti-capitalist city titled New Babylon designed by Architect and Situationist Constant Nieuwenhuys between 1959–74. via e-flux
The above shows one of the models for a futuristic, anti-capitalist city titled New Babylon designed by Architect and Situationist Constant Nieuwenhuys between 1959–74. via e-flux

 

遊牧民的、モビリティ、大衆にとって遊戯的な、ファンタスティックな都市デザイン論。漂流することによって、さまざまな都市にあるシンボルを再設定していく。recording

 

単なる文字、理論だけで終わっていない、実践にいたっている点が重要。

 

 

<統一的都市計画>

 

ここに住む理想的な住人(ニューバビロニアン)は、ホモ・ルーデンス(遊戯人)と設定され、彼らは、労働と余暇という資本主義の二元論を乗り越えた存在として定義される。

 

自発的で能動的な彼らのふるまいによって都市が創造され、改変され、変容し続ける。機能を特定するような空間の概念は取り払われ、遍在する居住空間の断片を、ニューバビロニアンたちはブリコラージュし生活していく。

 

作品の写真がフレームアウトしていることからも、この都市は全体性を持たず、終わりを持たず、遊動的な空間として提示されている。

 

<転用> détournement

単なる引用、コラージュといったものではなく、既存の価値観を意識的にずらし、もっと積極的に新しい価値観や、今まで見えていなかった物事の側面をあぶり出そうとするもの。

 

IGもにたような"ずらし"をやっていたが、SIは弁証法的なやりかたを目指した。価値を否定すると同時に新しい価値を提示するようなニュアンスを持つ。

Rotolo De Pittura Industriale Giuseppe Pinot-Gallizio ,1959
Rotolo De Pittura Industriale Giuseppe Pinot-Gallizio ,1959

この作品は資本主義を象徴する生産ラインのパロディであり、工場組立ラインを暗示している。産業絵画として、まるでテキスタイルのように、mごとに切って販売した。

 

Paris By Night (Defiguration) Asger Jorn ,1959
Paris By Night (Defiguration) Asger Jorn ,1959

モディフィケーションシリーズ:ブルジョワ的イメージの絵画の上に、戦後の多層的な表現を重ねた。双方の時代性を一枚の絵にうまく反映させた作品。

 

The Avant-Garde Doesn't Give Up., 1962. Defiguration.
The Avant-Garde Doesn't Give Up., 1962. Defiguration.

マルセル・デュシャンのLHOOQを思い出すような作品。前衛やアーティストの影響力、パワーなどは存在しない。「前衛」に対しては否定的なスタンスをとる。

 

「アヴァンギャルドは諦めない」シリアスなのかジョーズなのかは分からない。

 

<デペイズマンの手法>

「ラ・ヴィレット公園」の2人の案の共通点として、モンタージュ的手法がみてとれる。
→シーンの非連続性、異なるものの衝突

"As beautiful as the chance encounter of a sewing machine and an umbrella on an operating table" by Lautréamont 1933 Man Ray
"As beautiful as the chance encounter of a sewing machine and an umbrella on an operating table" by Lautréamont 1933 Man Ray

19世紀の詩人、ロートレアモン伯爵の「マルドロールの歌」の一節「解剖台の上でのミシンとこうもりがさの不意の出会いのように美しい」を写真で表現している。

 

思いがけなさの衝突によってうまれる、状況の構築。

 

 

 

関連書籍

『建築と断絶』,ベルナール チュミ (著), Bernard Tschumi (原著), 山形 浩生 (翻訳),鹿島出版会,1996

『スペクタクルの社会 (ちくま学芸文庫)』,ギー ドゥボール (著), Guy Debord (原著), 木下 誠 (翻訳),筑摩書房,2003

『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト (1)』,木下 誠 (翻訳),インパクト出版会,1994

『アルゴリズミック・デザイン実行系 建築・都市設計の方法と理論 ALGOrithmic Design EXecution and logic』,渡辺 誠 (著),丸善出版,2012

『建築プログラミング―その手法と実践へのトレーニング』,エディス チェリー (著), Edith Cherry (原著), 上利 益弘 (翻訳),彰国社,2003

『レム・コールハース:ア・カインド・オブ・アーキテクト [DVD]』,レム・コールハース (出演), マーカス・ハイディングスフェルダー (監督), & 1 その他 形式: DVD,アップリンク,2009