エコロジー建築とは
建築を取り巻く環境に配慮がある建築のこと
<エコロジーの語源>
語源は「エコロギー(Oekologie)」
住居や家庭を意味する「オイコス」と論理や哲学を意味する「ロゴス」の合成語で、もともとは生態学を意味する用語。
1960年代以降、工業技術の発展によって環境破壊が表面化しはじめると、それを受けて環境保全や環境保護に対する意識が高まった。
海洋生物学者レイチェル・カーソンの「沈黙の春」(1962年)は環境問題を真剣に考える起点となり、その解決策として生態学が引用されるようになった。
エコロジーは、ヒッピーカルチャーなど文化的な活動を盛り上げるために引用されたり、1970-80年代にかけてはヨーロッパを中心に政治的な活動と結びつくなど、組織や共同体の看板として掲げられることも多い。
エコロジー建築:パターン1
<ハイテク建築の発展形としてのサスティナブル・テクノロジー系>
ソーラーパネルによる自家発電
飲料用水の使用を削減するための雨水利用
断熱材としての再生デニムの使用
旧博物館解体時の廃材の再利用
廃熱回収システムによる冷暖房空調設備
断熱層としての屋上緑化
自然光と自然通風の利用によるエネルギー削減 など
コメルツ銀行本店ビル
1991-97 ドイツ フランクフルト
設計:ノーマン・フォスター
via fosterandpartners
世界初のエコロジカル建築の超高層ビルであり、サスティナブルな超高層ビルの成功例として、のちの手本となった。
多くのオープンスペースを設けることで効果的に光と自然光を取り入み、建物全体のエネルギー消費量を最小限に抑えた環境をつくり出している。照明や温度の自動調整システムを採用し、ビルオートメーションシステムで、それぞれのオフィス環境(室内照明、温度、換気など)を遠隔制御している。
高さ4層分の"スカイ・ガーデン"や、開放感のある巨大な中庭の存在は、働く人々に快適な環境を提供している。
ボルドー裁判所複合施設
1992-98 フランス ボルドー
設計:リチャード・ロジャース
via mimoa
30セント・メリー・アクス
2003 イギリス ロンドン
設計:ノーマン・フォスター
via wikipedia
via londoninsight
エコロジー建築:パターン2
<植物など自然界のものを取り入れることで、環境問題への対応を試みたもの>
主に建築と自然の融合が目的になっている。機械的なテクノロジーを駆使するというよりも、自然を取り込むことでエコロジー対策を試みるもの。
パターン1が自然をどうにかコントロールしようとする意図があるのに対して、パターン2は東洋的な自然感に近いアニミズム的発想がある。
草とガラスの家
1994 ウェールズ
設計:フューチャー・システムズ
主宰者:ヤン・カプリツキー
via ideasgn
ハノーヴァー万国博覧会 オランダ館
2000 ドイツ ハノーヴァー
設計:MVRDV
via mvrdv
エデン・プロジェクト
2000 イギリス コーンウォール
設計:ニコラス・グリムショウ
via wikipedia
エドゥアール・フランソワ
1958-
フランスの建築家
via designboom
Tower Flower
2005 パリ
設計:エドゥアール・フランソワ
via AD
巨大な鉢に給水するシステムは、地下の貯蔵タンクで水に肥料を加えて、ポンプでバルコニーへ送るというもの。自律方式のシステムによって、年間を通して変わらない竹の壁面装飾が楽しめる。
設計者のエドゥアール・フランソワは、環境に配慮した建築開発の提唱者であり、建築だけでなく、都市計画、景観デザインまで領域横断的に活動をしている。
関連書籍
『沈黙の春 (新潮文庫)』,レイチェル カーソン (著), Rachel Carson (原著), 青樹 簗一 (翻訳),新潮社,1974
『150 Best Eco House Ideas (英語)』,Marta Serrats (著),Harper Design,2011
『100 Contemporary Green Buildings / 100 Zeitgenossische Grune Bauten / 100 Batiments Verts Contemporains (25) (英語)』,Philip Jodidio (著),Taschen America Llc; Slp Mul版,2013
『エコロジー建築 新装版』,エコテスト・マガジン (著), 高橋 元 (翻訳),青土社,2008
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